幼いころから、見えないものを見、聞こえないものを感じて生きています。
長年、建築現場で働いてきました。
建築の現場では、設計図通りにいかない建物予算通りにいかない建物が多くありました。
そんな建物の製作はほとんど、私の所へ回ってきました。
他の技術者ではできないことを私はできました。
というのも、私も出来るかなと思いましたが、考え考えて、考え疲れるとふと、夢に出来上がった図面が現れて、目が覚めると急いでかきうつすと、梁が抜けていたり、柱がなかったりし、危険なところを回避したり、ふと、夢のお告げで、「だれそれのところでききなさい。」とか「ここの場所にいきなさい。」とか言われていくと必ず、解決策が見つかりました。
私が今現在、この仕事に就いたのは、もともと、お医者さんになりたかったのですが、私の母親が15歳のときに、ガンであっけなく死んだので、こんなに、無力なものを学んでも仕方がないと思い、建築の道に進みました。
建築の仕事をしながら、一級建築士の資格を取り、建築士として現場の所長や、設計しと図面を書きながら順調に生活をしていましたが、またあるとき、夢のお告げがあり、「人の体を癒す仕事に就きなさい。鍼灸師やマッサージの仕事をしなさい。」といわれて
さんざん迷いましたが、建築士の仕事を辞めてこちらの仕事をすることに決めました。
こちらの世界にきて、鍼灸専門学校では、基本のことは教えてくれますが、本格的な病気直しを教わることができませんでした。
「困ったことになったな。」と思っていました。
ある日、知り合いのキリスト教の信徒さんで熱心な方から、「チャリティーバザーがあるので、きてださい。」とお誘いを受けました。
「韓国料理を食べさしてあげる」といわれたので、楽しみにいったのですが、出していただいたのは、韓国のおやつのチジミでした。
がっかりして、そのチジミを食べていましたが、ふと見渡すと、そこに、痩せたおじいさんがおられました。長い付き合いになる。坂田先生(福知山では有名だった看板の無い繁盛院・鍼灸整体院院長)でした。
坂田先生は楽しそうに信徒さんとお話をされていました。
元気そうにされていたので、先生に声をかけました。
「小学生のときは、お世話になりました。先生、お元気そうですね。」
『私は元気です。衣川君は今何をしているの。』と聞かれたので、
「鍼灸学校に夜学で通っています。これから、どうしようかと考えています。」と答えました。
『私はまだ、現役でがんばっています。一日12人見ています。今年で90歳です。』といわれ私は驚きました。生きているだけでも凄いのに、まだ指圧の仕事をしていることには、たいへん驚きました。
そこで、「ぜひ、今度仕事を見せてください。私は人の病気を治すことをやっていきたいのです。」
とお願いしました。すると『いいよ、今度見に来なさい。』と言われたので、早速通うことになりました。
そこで、まず驚いたのが、こんな人は、病院で治した方がいいのではないかと思うような人ばかりでした。
坂田先生の治療の仕方は、基本は指圧ですが、押すのではなく、ただ、体重を乗せるだけの極めてシンプルな方法でした。そして、また指圧の理論が人間の生理学に基づいたものでした。
見習いに行くと、てっきり、指圧の本を見せてくれるのかと思いきや、1650ページに及ぶ分厚い本でした。
『衣川君、はいこれ目を通してください。』と言われ、腰が抜けんばかりに驚きましたが、ここでくじけたら、あとが私にはなかったので、「わかりました。読みます。」と言って預かって帰りました。
そこには、人間の脳の奥深い機能のことが満載の本でしたが、素人の私にはチンプンカンプンでした。それでも、先生について、先生の治療を見ていくうちに、「ああ、このことか、ああ、この機能か、この場所か。」とありがたいほど、よく分かるようになりました。
それと、いろいろな解剖学の本を見せていただいて、『人間の解剖学の本は全て、参考です。解剖の本は全ての人に当てはまりません。いろいろな作者の本を読んでください。全て、病気もそうです。内科学のテキスト通りには人間の病状は進みません。』と言われて、衝撃的でした。
生理学の作用や神経を刺激することにより、内臓の調子を整えて行く方法を学んでいきました。
ほとんど、興味深いことを学習で来たので幸せでした。
それと坂田先生の息子さんが東京におられて、鍼灸院を開設されていたので、そこのお弟子さんと、いろいろなお話ができて、楽しかったです。
そこで、わたしが一番、すごいと思ったのは、先生は、もと牧師さんであり教会で説教をされていました。
先生の治療室はさながら、先生の独演上で、教会の教室のような雰囲気でした。
先生は本が好きで、90歳でも、毎月、医学書を5万円、哲学・宗教書を3万円、美術書を7万円ほど、買われていました。
先生の寝室は、まるで、図書館の倉庫のように、本が高く積まれていて、すごい数の本と美術品の宝庫でした。
患者さんには、いつも、親切で、でも愚痴や泣き言をいう方には、きちっと諭して、体が良くなっていくように、全身全霊をかけて、治療をされていました。
特に、重篤な方には、指圧をし、そのあと、患者さんの為にじっとして、祈られていました。
そして、『あなた、感謝しなさい。祈りなさい。そして、神に悩みと苦しさをゆだねなさい。』と言われて、患者さんも体の苦しさと生活の苦しさを言われて、患者さんと共に涙されて、治療をされていました。
私も先生の姿を見て、この人の治療という仕事は、ただの金儲けとは、違う。
この仕事は、人間の心を高めて、患者さんと共に、この世を歩いていく仕事と、先生の姿を見て教えられました。
ですから、そこには、患者さんとして、お医者さんもいれば、牧師さんも来られて、先生の治療を受けられて、治療だけでなく、哲学的、精神的にもアドバイスを受けて、皆さん、体だけでなく、心も癒されて、帰られていました。
皆、神の子であり、常に私たちは神に守られ、そして、いろいろな生命のお蔭で生きているということを学ばせていただきました。
私はここで学んだことを常に基本において、ここでは、常に教会や、聖地のように人を癒しの場を作り、そして、育てて行くように心がけて、日々精進して、毎日勉強させていただき、治療にあたらせていただいています。
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